本格焼酎について語る前に日本では焼酎は基本的に甲類と乙類に分かれます。甲類とは主にサトウキビを精製したあとに残る廃糖蜜を再発酵させ,連続式蒸留といわれる工業的な方法で,短時間で大量のアルコールを精製し,規定の度数に割り水してできたものをいいます。まあ,原料はサトウキビに限らないのですけどね。わかりやすく銘柄をあげるとすれば『宝25度』や『大五郎』などがありますが,酒屋さんの軒先に大容量で大特価品と書いて並んでいるものはほとんどがこれ。アルコールとしての純度が非常に高く,無味無臭なので,生やロックよりウーロンハイやサワーなどに利用される事が多いタイプです。 これに対し乙類は麹造りからはじまり,麹と水と酵母で一次発酵させたのち,芋や麦,米などの主原料を加えて醪を造り,二次発酵させたものを昔ながらのポットスチルまたはこれに類じた(応用した)蒸留器で単式蒸留によって造られるものを言い,この乙類焼酎が“本格焼酎”と呼ばれています。二次発酵の醪に使われる原料が麦であれば麦焼酎,米であれば米焼酎と言う事になります。アルコールの純度も低く,雑味(個人的には旨味といいたいのですが…。)成分もかなり含有するのですが,これが個性的な香りや味わいを造り上げているのです。まず,この時点で“焼酎”と同じ名はついても双方全くの別物であると言う事がわかっていただけると思います。さらに乙類の蒸留法も釜内部の圧力を下げて蒸留する減圧蒸留と圧力を大気圧のままで蒸留する常圧蒸留の2パターンがあるのですが,前者は気圧が下がる為に沸騰,蒸留が低い温度ではじまって,ソフトで軽快なタイプに仕上がり,後者はパンチのきいた深い味わいに仕上がります。最近では米焼酎や麦焼酎は減圧が主体。芋焼酎や黒糖焼酎は常圧が主体になっています。 |